
僭越ながら、中華スマホ沼にはまって3年のワタシの知識を振り絞って、読者の疑問に答えてみるぞ。

購入の際にぜひ参考にしてください!
もくじ
中華スマホのススメ
ガジェット探偵事務所へようこそ!所長のマーロウ(@marlowesgadget)です。
今回は、「格安のスマホを探しているんだけど…」「中華スマホにチャレンジしてみたいけど大丈夫?」という方向けに、中華スマホの基礎知識を詳しく解説していきます。
筆者も3年前はズブの素人でしたが、中華スマホの情報ってなかなか見つからないですよね。初心者のときに知りたかった情報をまとめてみましたので、ぜひご活用ください。
ひとくちに中華スマホといっても、台湾のメーカーを含めるのか?など曖昧なところもあります。本記事では、狭い意味での「中国本土で活動するメーカーがつくるスマホ」を中華スマホとして、台湾は含めないとします(性格が異なるので)。
参考に、昨今のスマホメーカーの分布図をまとめてみました👇。

ほとんどのスマホは東アジアで生産されていて、このように様々なメーカーがありますが、シェアはどうなっているのでしょう?最新のデータは次のとおりです。
- Samsung (サムスン・韓国)21.8%
- Huawei (ファーウェイ・中国)18.6%
- Apple (アップル・米国)13.0%
- Xiaomi (シャオミ・中国)9.1%
- OPPO (オッポ・中国)8.7%
- その他28.8%
以上から次のことがわかります。
- 上位5社のうち3社は中国メーカー
- 残りは米国のAppleと韓国のSamsung
- 日本や台湾のメーカーのシェアはほとんど無い
つまり世界のスマホは中国メーカーに席巻されているわけです。

中でもHuaweiは急速にシェアを広げてきたので、トランプ大統領にいじめられるハメになったわけですね。
ちなみにスマホメーカーの栄枯盛衰をまとめた面白いグラフ動画があるので貼り付けておきます。2010年代後半になって中国メーカーが市場を席巻する様子がわかります。
実際に使ってみて、次のようなメリットとデメリットがあると感じています。
- iPhoneやGalaxyなどと比べて、同じ性能だと格段に安い
- 流行の最先端で最新の機能を楽しむことができる
- 数多くのメーカーがあり、バリエーションを楽しめる
- 人と違うスマホを持つことができる
- 国内で販売されていない商品は個人輸入する必要がある
- 情報が少ない。トラブルが起きたときに大変。
- 技適認証されていない商品が多い
- キャリアによっては電波が入らない機種がある
デメリットの部分は後ほど解説していきます。
どんなメーカーがあるの?おすすめは?

様々なメーカーがあると思うのですが、どのメーカーがおすすめってあるのでしょうか?

日本の電子機器メーカーと同じように大手と中堅、ベンチャーのようにヒエラルキーがあるな。なかでも四天王と呼ばれる大手四社でほとんどのシェアを締めているぞ。

メーカーは大きく上図の3種類にわけることができます。なおこのクラス分けは筆者の独断と偏見によるものですのでご容赦ください。
おすすめはやはりAクラスのメーカーです。VIVO以外の3社はすでに日本に進出済みです。
しかしHuaweiは2019年の秋から米国より制裁を受けているので、Google関係のサービスが一切使用できません。端末の完成度は素晴らしいのですが、残念ながらソフト的にHuaweiは初心者におすすめできません。
したがって、XiaomiかOPPOの二択となります。Xiaomiは2020年春の時点で1機種しか投入していないので、やはり数種類展開しているOPPOのスマホが初心者にはおすすめですね。
なおAmazonなどでCクラスのメーカーが出店して格安で販売しています。これらは安い分だけ完成度が劣りますので、どちらかというと中級者以上向けです。安いからといって知識のないシニアに買ってあげるには向いていません。
クルマの例でいうと、トヨタにおけるレクサスみたいなもんでしょうか。同じ会社だけど購入者の層を意識してブランドをわけています。代表例を図にまとめてみました。

大手メーカーはほとんど若者向けの廉価版ブランドを有しています。なかでも巨大なのが、HuaweiのHonorです。サブブランドなのに他社の一つ分のシェアを持っていたりします。
また中国国内向けと海外向けで、位置づけが異なるものがあります。代表例がOnePlus。中国国内のシェアは大したこと無いものの、欧米を中心に人気があります。
中華スマホはどこで購入したら良い?

おすすめブランドはわかりましたが、どこで購入するのがおすすめでしょうか?

次の4種類があるけれども、安く購入したいのであれば、③個人輸入にチャレンジしてみることをおすすめするぞ。
- 国内のキャリアでセット販売
- Amazon・楽天などネット通販
- 中国の海外向けネット通販(個人輸入)
- 中国本土や海外の店舗
1. 国内のキャリアでセット販売
最近はドコモなどのキャリアでも中華スマホを扱うようになってきました。Huaweiが一時期多く採用されていましたが、制裁中のため、現在はOPPOとXiaomiが取り扱われています。
なかでも今シーズンからauにてOPPOのFind X2 ProとXiaomiのMi 10 Liteが取り扱われるので楽しみですね。
キャリアで回線契約でセット購入すると条件によっては安く購入できることもありますが、だいたいは割高になります。そのかわり保証がバッチリですし、問題があれば店舗に持ち込むこともできます。
初心者や高齢者向けにおすすめです。
2. Amazon・楽天などネット通販
国内でネット通販されているスマホはさらに3種類に分別できます。
- OPPOやXiaomiなど正規に国内進出していて保証がしっかりしているもの
- UmidigiやOukitelのように公式販売店が出店していて技適認証も取得しているもの
- 代理店が並行輸入していて、保証があやしいもの
①や②で購入するのは問題ありませんが、③は慎重に(Amazonなどで出品者がマイナーな名称な場合)。個人輸入するのとさほど変わりません。
①の場合は、国内にも修理センターがあるなどサポート体制がしっかりしていますので安心です。②はネット店舗のみです。
3. 中国の海外向けネット通販
近年は中国の通販サイトが充実しており、日本国内よりも安価に購入することができます。ただし①簡単な英語が必要、②到着まで時間がかかること、がデメリットですね。
有名な通販ストアであるGearbestやBanggoodであれば不良品にあたったときも、交換や返金もきっちりと対応してくれますのでおすすめです。クレジットカードが無くてもコンビニ払いなどにも対応しています。
中国の海外向け通販有名なのはAliExpressです。日本の楽天みたいな巨大モールで数多くの商品を扱っています。
ただ注意しなくてはならないのが、中には悪質な業者もいて、なかなか発送しなかったり、勝手な都合でキャンセルされることもあります。
筆者がびっくりしたのは、オフィシャルストアと名乗っているのに、まったく公式で無いストアがあることでした。
このあたりも含めて買い物を楽しめるかどうかですね。リスクが多い代わりに、掘り出し物も多数あります。
その他にも数多くのストアがありますので、別途記事にまとめたいと思います。
4. 中国本土の店舗
中国に旅行に行くと、現地で店舗が目に入るので思わず購入してしまいそうになります。筆者も実際にXiaomiのスマホを一度中国の店舗にて購入したことがあります。
しかし一つ落とし穴があります。
中国国内で販売されているスマホはいずれもGoogleサービスがインストールされていません。メーカーによっては日本語すら使えないことがあります。
なぜかというと中国政府はGoogle、Yahoo!など政府の方針に従わないサービスはすべて排除しているのです。
したがって、ブートローダーアンロックや自力でGoogleサービスをインストールできる力量が必要になってきます。初心者はやめておきましょう。

輸入中華スマホの電波問題
国内で正規販売されているスマホはまったく関係ないのですが、輸入中華スマホには次の2つの問題に注意を払わなくてはなりません。
各キャリアによって4G電波を受信できる周波数(バンド)があります。なかでも山間部やビル街で受信しやすくするプラチナバンドが大事で、ドコモはB19、auはB18、ソフトバンクはB8を採用しています。
ところが世界的に見るとドコモのB19とauのB18はとてもマイナーなバンドなため、中華スマホの多くが対応していません。それに対して、ソフトバンクのB8はほとんどの中華スマホで採用されています。
加えてauはなにやら特殊な仕様になっているらしく、バンドが対応していても通信できない場合があるようです。
詳しくは下記の記事をご参考ください👇。

つまり、ソフトバンク回線であれば、多くの中華スマホは使用できるのに対して、ドコモ回線はやや制限があり、au回線はまったく向いていないということですね。

そうだな。ただしこれは4G回線に限った条件で、5Gになるとドコモとauが有利になる。これはまた別記事で紹介しよう。
「技適」とは総務省が定める「技術基準適合証明等」のことで、電波を発する機器は総務省が定める基準をクリアして、認証を受ける必要があります。

国内で正規販売されているスマホはすべてこの技適認証をクリアしていますし、輸入されているスマホでも技適認証を受けているものがあります。
しかし中国から個人輸入する場合、ほとんどのスマホは技適認証を取得していません…。
では個人輸入するとすぐに法令違反になるかというと、そうではありません。スマホを持ち込んだ外国人旅行者がすべて違反となりますので、ほとんどのスマホは90日の猶予期間があります(実験目的として申請すれば180日まで)。詳しくは下記リンク先をご参考ください。
90日を超えた場合ですが、原則として国内で電波を発してはいけません。ただ使用したらすぐに逮捕かというと、そうではなく総務省も「(電波法)違反になる恐れがある」としか説明していません。
日本社会でよく言われるように、このような規則には「本音」と「建前」というものがあります。そのあたりをよく理解して購入しましょう。下記の記事に詳しく書いてあります。
中華スマホのセキュリティは大丈夫か?

中華スマホは個人情報保護やセキュリティーに問題があると聞き、心配です…

そうだな。気持ちは十分わかる。だが3年間使用しているが、ワタシは一度もそれで困ったことはないけどな。
米国がHuaweiの通信機器にはバックドア(裏口)があると騒ぎ立てましたし、実際にいくつかの中華スマホにはセキュリティに問題があったようです。
さらにいうと中国政府は信用できないですし、通信を傍受している可能性は否定できません。
とはいえ、個人情報保護に関しては、大手スマホメーカーは限って言うと、そこまでのリスクを犯して個人情報を売り渡すとは思えません。明るみになった際には、国際的な信用を失い、計り知れない損害を生み出すからです。
セキュリティに問題があるのはどこの国のメーカーも同じですし、それは国の問題というよりも技術力の問題のように思います。
ただ、それでも心配な気持ちになるのであれば、iPhoneを使うことをおすすめします。Apple社は個人情報管理に敏感で、米国政府にも情報提供を拒むような会社ですので、完璧なセキュリティになっています。
中華スマホを使うということは、ある意味、それなりにリスクを犯すということでもあります。筆者的には大した問題でないと思っていますが、結局はリスクに対する個人の考え方の問題だと思います。
なぜ中華スマホには独自UIを載せているのか?

HuaweiだとEMUI、XiaomiはMIUI、OPPOはColor UI、VIVOはFuntouchOSのように大手各社はAndroidを改造して、独自のユーザーインターフェース(UI)を搭載しています(改造AndroidであるカスタムROMの一種)。
しかしGoogleが発売しているPixelを見れば、Android単体で十分に動作するのに、なぜ余計なことをするのでしょうか?
これには中国ならではの事情があります。中国政府はGoogleの一連のネットワークサービス(GMS)を中国国内で展開することを禁じています。Googleが中国政府のいうことを聞かないからですね。
つまり基盤システム(Android)は認めるけど、ネットサービスは認めないというへんてこな状況になっているのです。
仕方ないので、大手スマホメーカーはGoogleの代わりに端末管理のためのネットワークサービスを独自に展開しています。

例えばGoogleアカウントサービスのかわりにHUAWEI IDやMI アカウントといったサービスを展開しています。クラウド系のサービスはすべて自前で用意しなくてはならないので、Androidを大改造するハメになるわけです。
さらにカメラや指紋認証ボタンなどで独自のハードを搭載すると、そのオペレーションソフトはすべて独自に開発しなくてはなりません。
そんな背景もあり、また各社のサービス差別化路線もあって、独自にUIを開発しているわけです。
ところが、その中国国内向けのUIベースにハードが動くので、Google規制が無い海外向けスマホにも独自UIを載せざるを得ません。
するとGoogleサービスと各社独自のサービスが併存するという変な状況になるわけです。
ちなみに独自UIを開発できる体力があるのは、上で紹介したBクラスまでで、Cクラスメーカーのスマホは素のAndroidを少しだけカスタマイズしただけのものを搭載しています。

CクラスメーカーはOSのアップデートもほとんどしないので、セキュリティの問題が懸念されてきました。それに業を煮やしたGoogleがつくった仕組みがAndroid ONEです。
OSアップデートもGoogleが面倒見ますということになっているので、この点に関して言えばAndroidONE対応機種を選ぶのは選択肢の一つですね。残念ながらあまり対応機種がありません…。
なぜ激安な中華スマホがあるのか?
Amazonを見ているとUMIDIGIやOUKITELが格安でシムフリースマホを販売しています。なぜこんなに格安で販売できるのでしょうか。なにか裏があって危険なのでしょうか?
実はなにもありません。ただ安いだけです。
モノづくりで最もお金がかかるのは人件費です。特に開発費はとても人件費がかかるので最新機種には価格に大きく上乗せされてきます。有名ブランドだと広報費などが更に乗ってきます。AppleやGalaxyが高価なのは高い社員の給料とCM代です。
UMIDIGIなどのスマホはすでに開発済みのパーツの寄せ集めでできています。型落ちしている量産可能なパーツ代なんてたかが知れています。なので安く作ることができるのです。
(ガンダムでいうとザクとかジムみたいなもんですね。)
iPhoneですら、原価は10,000円程度と言われています。UMIDIGIのスマホなら数千円でしょう。なので10,000円前後で販売しても利益がでるわけです。
そのかわり人件費がかかる「実店舗」や「カスタマーセンター」などは無しとなります。
OSも素のAndroidに近いものを載せていますし、カメラアプリも簡素なものです(ソフト開発が最もお金がかかる)。色味の調整などひどいもんで、よくこんなレベルで出荷するなぁと思います。でもカメラなんてスナップ程度で十分という方にはそれでも良いですよね。
要するに手間のかかっていないスマホだから格安で販売できるといえます。
よくある質問 Q&A
中華スマホは壊れやすいと聞いたのですが本当ですか?
一概にそうとはいえません。Aランクは高品質高耐久といえます。Cランクのスマホは怪しいところもありますが、一昔前の中華スマホとは大違いで、かなり質も上がっています。ただしiPhoneには及ばないので比較しないようにしましょう。
iPhoneと中華スマホを迷っています。どちらがおすすめですか?
iPhoneが買える予算があるならiPhoneを買いましょう。iPhoneは高いですが、後悔することは無いと思います。その逆はあります。
Huaweiは今、制裁を受けていますが、Huaweiスマホの購入はやめた方がよいですか?
2019年秋以前に発売された機種は制裁の対象外ですので問題ありません(P30やNova lite 3など)。Googleサービスを引き続き利用することができます。Huaweiがサポートをやめるとは考えにくいので大丈夫です。
中華スマホでモバイルSuicaを使うことはできますか?
残念ながらほとんど無理と思っておきましょう。現在対応しているのは日本向けにカスタマイズされたOPPOのReno Aくらいです。なぜかというとSuicaに使われているFeliCaという仕組みがガラパゴス技術で、日本以外ではほとんど使われていないからです。
中華スマホ入門のまとめ
以上、中華スマホの基礎知識についてまとめてみました。
最後の方は中華スマホのリスクに関することで、なんとも歯切れが悪くなってしまいましたが、投資と同じで、ある程度のリスクは承知の上で、チャレンジするということが中華スマホを楽しむコツかなと思います。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ですかね。
もし興味が湧いたなら次のまとめ記事をご覧いただければと思います。ではでは~。
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