ガジェット探偵事務所へようこそ!所長のマーロウ(@marlowesgadget)です。
今回はスマホの充電技術の一つPPSについてまとめてみました。
Programmable Power Supplyとは?
AnkerやRavpowerの急速充電器に「PPS対応」という言葉が登場するようになってきました。
PPSとは正式名称である「Programmable Power Supply」の頭文字を取ったものです。
直訳すると「プログラム可能な電源」という曖昧なことばですが、つまりは決められた電圧・電流ではなく、バッテリーの充電状況に応じながら「柔軟な」電力供給を行う技術のことです。
2017年、USB-IFという団体により、USBを使用した充電規格USB PDのRevision3.0で新しく追加された拡張機能です。したがってPD3.0に対応した充電器とデバイスでなければ使用することができません。
なおQualcomm社の独自充電規格であるQuick Charge 4.0もPD3.0に準拠しており、同じくPPSにも準拠しています。
PPSって何が便利なの?
簡単にいうと、「電力ロスを少なくし、最適な充電ができる」ことです。
一般的に充電の際には、接続時にデバイス(スマホ)と充電器の間で最初にネゴシエーション(交渉)が行われ、デバイス側は「対応可能な電圧」と「最大電流」を指示します。
PD規格の場合だと電圧はあらかじめ5V / 9V / 15V / 20Vのように決められており、そこから選ぶ形になります。
次に充電器側は最大電流に達するまで電圧を上げ、到達したら今度は電圧を下げ最大電流を超えないよう調整しながら電力を供給します。
このとき電圧の変動幅が大きいと電力ロスが多く生じ、その分「発熱」という形で無駄なエネルギーになっていまいます。電力が無駄になるばかりでなく、デバイスにもダメージを与えることになります。
そこでPPSでは、充電器とデバイスが10秒ごとにデータを交換できるように取り決め、デバイスの状況に応じて小刻みに出力電圧と電流を動的に調整すること可能にしました。
具体的には上限と下限を超えない範囲であれば、電圧は100mV単位、電流は50mA刻みで変動させることができ、柔軟に対応することができます。
PPSに対応したデバイスは?
充電器側でPPS対応を謳ったものは最近増えてきましたが、肝心のデバイスのほうで対応製品が少ないのが残念なところです。オフィシャルに対応をうたっているのはSamsungのGalaxyシリーズの一部製品のみです。
なぜかというと、スマホメーカー大手各社はすでに独自の充電技術を持っており、PPSに似たような小刻みな充電が可能になっているからす。
ちなみにiPhoneはPPSに非対応ですが、細かに出力を変えながら充電しているそうです。詳しくは下記記事をご参考。
しかしPDのような統一規格ではないので、各社の充電規格に対応した専用の充電器を使用しないと適切な充電ができない事態に陥ってしまいます。
現在は急速充電技術を各社競い合っているので、なかなか統一とはなりませんが、そのうちPD規格が普及するとともに、PPS対応スマホが標準となる時代がやってくるでしょう。
まとめ|今から備えておきたい
まだまだ対応製品が少ないですが、これからUSB PD環境を整えていくなら、PPS対応の可否を確認していきたいところです。執筆時時点で次の製品がありますので、参考にしてみてください。
ではでは。参考になれば幸いです。