マーロウ
小米(シャオミ)社とは?
はじめに簡単にまとめておくと次のとおりです。
- 2010年設立されたからわずか8年。中国を代表するデジタルハードウェアメーカーに。
- ネット販売を中心に「高品質低価格」で売上を伸ばし、スマホの世界シェア第4位に!
- 近年はスマートフォンメのみならず、白物家電からインターネット、金融まで多角的に経営。
- 巨大な中国市場を拠点としながらも、インド、東南アジア、欧州等の国際市場にも進出。
小米科技(Beijing Xiaomi Technology Co., Ltd)は2010年、雷軍(Lei Jun)氏によって共同創業者8人とともに中国北京で設立されました。
「小米」は、中国語で「雑穀の一種」という意味。社名の由来は、Mobile Internetの頭文字である「M(obile)」と「I(nternet)」が、中国語の「米(MI)」の発音と同じことに由来します。
どんな製品をつくっているのか?
主にAndroidスマートフォンの製造・販売を行っているほか、ノートPC、スマートテレビ、空気清浄機、オーディオ機器の製造・販売を手掛けています。
Xiaomi社の製品は「高品質低価格」と評価されています。2011年8月に、初代の小米スマートフォンMI ONEを発売しました。同製品は高い支持を得られ、特に中国の20代、30代の若者に人気を博しました。これにより「中国のアップル」の異名で呼ばれることもあります。
世界的なデジタルデバイスメーカーに
2011年は売上高が約6億元(約100億円)となりました。さらに2013年の販売台数が1,870万台に達し売上高が316億元(約5,300億円)と急速な成長を遂げ、中国でトップ3のスマートフォンメーカーになりました。ネット専売の戦略を使いこなして主に都市部の若者客層を多く獲得し、中国の大都市部を中心に直営店の「小米之家」も展開しています。
年月 | 事柄 |
---|---|
2011年 | AndroidベースのスマートフォンMI-One(小米手機)を発売 |
2012年末 | 710万台の携帯電話を販売 |
2013年8月 | Googleグローバルの副社長Hugo Barra氏を副社長として招聘 |
2014年2月 | 台湾やシンガポールで事業を展開 |
2014年7月 | インド市場に進出 |
2014年8月 | インドネシア市場に進出、通販と実店舗を通じて販売開始 |
2014年末 | 7,122万台の携帯電話を販売。中国シェア1位になる。 |
2016年3月 | 家電ブランド米家(MIJIA)を展開 |
2017年11月 | スペインのマドリードでヨーロッパ発の直営店を開設 |
2018年5月 | パリでフランス初の直営店を開設、ヨーロッパでの展開を拡大 |
2018年5月 | 香港の長江実業集団と提携 |
2018年7月 | 香港株式市場に上場 |
2018年8月 | サブブランドとしてPOCOを展開 |
2018年11月 | 美顔アプリのMeitu社と提携 |
Xiaomiの関係企業
- クアルコム…米国の移動体通信技術と半導体開発の大手。アンドロイド向けSoC SnapdragonをXiaomi社へ卸している。傘下の投資会社クアルコムベンチャーズは小米に出資。
- 華米…中国のウェアラブル装置の製造メーカー。Xiaomi社のウェアラブル端末の製造、販売を手掛ける。
- 中国電信…中国三大通信企業の一つ。Xiaomi社IPOの公募前に引き受けを約束する。
- 長江実業集団…香港を中心に事業展開する不動産デベロッパー。小米製品が欧州で拡販する主な提携先。
創業者について
レイ・ジュン氏を始めとする平均年齢は45歳という若き8人の共同創業者によって設立されました。
雷军 Lei Jun : 創業者、会長兼CEO
1969年中国湖北省生まれ。1992年にキングソフトの創業に参加し、1998年に同社のCEOに就任。2007年、キングソフトCEOを辞任し、副会長に就任。2010年4月事業を再開し、シャオミ社を設立。エンジェル投資家としても有名で多くのベンチャー企業に投資している。Appleの創業者スティーブ・ジョブズの影響が強く、商品のデザインや販売方法はもちろんのこと、発表会での演出や服装まで、ジョブズの手法を徹底的に模倣した。この戦略が功を奏したため「中国のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれている。
Xiaomi社の新戦略|Smartphone&AIoT
1/11に創業者で最高経営責任者(CEO)のレイ・ジュン氏が発表した戦略によると、同社は今後5年間でSmartphone&AIoT(AI + IoT)を基軸としたデュアルコア戦略を立て、AIoTへの投資額は100億人民元(約1600億円)になるとのことです。
2013年から現在に至るまで、Xiaomiは世界最大の消費者向けIoTプラットフォームとなっています。スマートフォンとラップトップPCを除いて、Xiaomi社のプラットフォームに1億3200万台以上のスマートデバイスが接続しています。さらに、2018年9月30日の時点で、Xiaomiは少なくとも1日あたり2千万ものデバイスが接続していたそうです。
世界中のスマートフォン市場で主導的な地位を固める
スマートフォン事業は、創立以来、Xiaomi社の中核を成してきました。「5Gテクノロジー普及前に、世界中のスマートフォン市場における主導的地位の強化に努めています」ともレイ氏は述べました。
2019年も、Xiaomiのスマートフォン事業は、革新と品質、そしてその製品ポートフォリオの最適化に注力し続けるものと見られます。Xiaomi社のその一環として先日、Redmiブランドの独立と強力なコストパフォーマンスを持つRedmi Note 7を発表しました。
Xiaomi社はXiaomiとRedmiという2つの主要ブランドに加えて、Black Shark、POCO、およびMeituを含む複数ブランド戦略を採用して、さまざまなユーザーセグメントを取り込んでいく計画です。
2018年第3四半期に、Xiaomi社の国際売上高は総売上高の43.9%を占めました。2019年にはXiaomiはヨーロッパとラテンアメリカの市場に焦点を合わせて世界的な成長を続ける予定だそうです。
最近、Xiaomiは有名な多国籍エレクトロニクス企業、TCL Corp.と提携しました。今後Xiaomiの家電事業は特にエアコンや洗濯機に関してサプライチェーンおよびOEM分野で強化される見込みです。また世界的な家具販売チェーンIKEA者ともライティング事業で提携することを発表しています。
Xiaomi社の成長は楽しみだが、ヨーロッパとラテンアメリカがターゲットでどうやら日本には来てくれないようだな。
米兎(ミィトゥ)と初音ミク
Xiaomi社にはマスコットキャラクターがいます。人民帽をかぶったウサギ米兎(ミィトゥ)です。ふだんはお目にかかることはあまりありませんが、ブートローダーアンロックというコアな作業をする方はFastbootの画面でお目にかかれます。同社のスマホ関連アクセサリにも登場します。
また日本生まれのボーカロイドキャラクター初音ミクのコラボスマホを発売したりしています。
このようなお茶目な一面もファンを増やす一因ではないでしょうか。Appleのマネばかり注目されますが、このあたりは戦略がちがっていますね。
日本への進出はあるのか?
Xiaomi社の日本進出はかなり前から期待され続けてきましたが、いまだに実現していません。2018年には、Docomoと特許契約について合意がなされたり、日本に子会社をつくったりしたことと、ライバルのHuaweiとOPPOが日本において地歩をかためつつあるので、Xiaomiもそろそろ進出かと噂されています。
一方で米国で中国企業への風当たりが強くなりZTEやHuaweiが圧力をうけているので、米国の子分である日本は政治的リスクが高いことと、防水性能やFeliCaそして技適が必要とされる特殊な環境にあることが参入の障壁になっていることもいなめません。
Xiaomi社はそれよりも巨大市場であるインド市場を重視しているように見えます。
参考記事
復活から攻勢に転じたXiaomi、2018年はシェア4位を維持できるか
マーロウ