ガジェット探偵事務所へようこそ。皆さんは車載Androidカーナビというものをご存知だろうか。インダッシュのカーナビを中華Android端末にしてしまうという恐ろしい世界である。
所長!何かっこつけてんですか!そんなに恐ろしい世界なら手を出さなければいいのに。
おいおい。自称ハードボイルド探偵なんだから、かっこくらいつけさせてくれよ。恐ろしい世界に飛び込んでいくのがガジェット探偵の宿命だ。それでは第2回のナビ性能紹介編スタート!
車載Androidナビとは何か?
車載Androidナビ。その名のごとく、クルマのインダッシュのナビ部分(ヘッドユニット)がAndroid OSで動いている端末です。中国製メーカーしか製造していませんので「中華ナビ」とも呼ばれます。
基本的にAndroidスマホとカーナビが合体してクルマに内蔵されていると思ってもらえればOKですが、スマホと異なるのは車両の様々な設備との接続を行うMCUというボードが搭載されており、スマホやタブレットをナビとして使うよりもより車両にフィットした使い方ができるのが特徴です。
具体的には下記のような使い方ができます。スマホだけ、あるいは既存のナビと比べ、統合されることでのメリットがあります。
- Androidで動くのでGoogle Playの豊富なアプリが使える。
- ネット接続することでGoogle MapやYahoo!カーナビなどのオンラインナビを使うことができる。
- オンラインナビは、地図データは常に最新で渋滞情報も取得可能。
- 装置導入でタイヤ圧や速度の数値をデジタル表示できる。
- Youtubeなどの各種映像を見ることができる。
- Bluetooth接続でスマホの音楽を流すことができる
- 車両のバッテリーから電源供給するのでバッテリー問題が生じない。
- 車両のアンテナからラジオやテレビのデータを受信可能。
- 車両のバックカメラの映像を映すことができる。
- 車両のアンプやスピーカーに接続して適量の音を出すことができる。
- 性能が低いプロセッサーやメモリが使われているのでスマホのようにサクサクとは動かない(その分安い)。
- 国産ナビのような耐久性はない。夏季の灼熱状態で故障のリスクあり。ただ酷いというレベルではない。
- 一般的に加速度センサーが搭載されていないので、トンネルでGPSを失うと位置不明になる(出ると戻る)。
- GPS性能がGPS+GLONASSだけなので、スマホに比べるとやや精度が劣るが使用上の問題はない。
- BluetoothやWi-Fiの接続が不安定な機種がある。
- 情報が不足していてトラブルになったときに困る
- 取り付けに専門知識が必要。技適未対応なので専門店にもちこんでも取り付けてくれないことも。
もちろん日本のメーカーはこんな商品を作りません。自分たちのボロもうけなビジネスモデルを崩してしまいますし、クレームがたくさん来て商売にならないからです。
どのメーカーの商品が選ぶべきか迷う
中華ナビは市場に流通し始めて年月が浅い商品です。いくつかのメーカーから似たり寄ったりの商品が出さされていて、いずれも知名度がなくどこから購入したらよいか判断がつかないのが悩みの種です。
唯一情報が集まるのが5ちゃんねるの「中華ナビのあれこれ」スレッドです。そこに掲載されている情報をベースに整理すると、現在入手できるメーカーは次のとおりです。
日本国内の通販サイトから購入可能
RockchipのPX系モデルを発売。Allwinnerモデルもあり。国内Amazon、Yahoo!ショッピングにて購入可能。日本語での保障、サポート有。日本での代理店あり。ボタンのない静電式モデルが多い。
http://www.xtrons.jp/
RockchipのPX系モデルを販売。国内Amazon等で購入可能。ボタンのあるハードスイッチモデルが多い。多彩なモデルを揃える。1080pHD画質のモデルもあり。日本語での保障、サポート有。
http://www.autopumpkin.com/
PX系ではなくAllwinerかMediatekモデルを販売。2万円台の安価なモデルが国内Amazonで購入可能。日本語サポートは不明。オンラインアップデートができる。Bluetooth接続がPXより安定している。アクセサリーもAmazonで多数販売。
http://www.myatoto.com/
Allwinner系とPX系を販売。国内Amazon、楽天、Yahoo!等で購入可能。サポート体制は不明だが、日本の代理店がある模様。
http://www.eonon.co.jp/
国内amazonにいくつかのモデルが販売されているが、情報が少ないので詳細不明。
以上に紹介したメーカーの中でユーザーが多いはXtronsとPumpkinでしょうか(移り変わりが激しいので1年後にどうなってるかわかりませんが)。
海外から輸入するマニアックな商品
Amazonで並行輸入品もあるが、基本的にAliExpressなどの中華オンラインショップから購入。PX系モデル。ファームの更新頻度は高い。各メーカーごとにモデルがあり、ギボシ接続しなくても良い機種もある。国内自動車メーカー向けもある。
http://www.dasaita.com/
Intel Sofia系が多かったが主要製品はPX系になってきている。1DINモデル多数有。昔からのユーザー多し。
https://www.joyingauto.com/
4Gモデム搭載機種がある。詳細不明。
http://www.ownice.com/
以上は少しコアなユーザー向けですね。情報が少なくても自らの能力でなんとかできる方向けです。探偵的にはメーカごとのカスタマイズ商品が多いdasaitaが気になりますね。
どのメーカーから購入したらよいか迷いますね。ショッピングサイトの評価も良いものと悪いものがあって、判断がつかないですね。
迷ったときは情報量が多い機種を選ぶのがコツだな。トラブルになったときに対応しやすいぞ。
Xtrons製品を選ぶ
シロートの探偵は、上記の情報から、XtronsかPumpkinのいずれかから選ぶことにしました。
Xtronsは普通のカーナビやアクセサリーも販売しているので、クルマに詳しい方はご存知かも。 Pumpkinとの大きな違いは物理ボタンの有無です。Xtronsは静電式なのでボタンを手で触ってもわかりません。つまり運転中にボタンを探すのが大変です。チラ見をしないと探せないですね。
それに対してPumpkinは電源、音量、戻るなどの押し込み式ボタンがあります。ただ枠から画面が少し下がっているらしくそれが気に入らないと言う人もいます。Xtronsはのっぺりと平面です。
結局、情報が多そうなXtronsのTB706APLを選びました。
購入は2017年の11月。Xtronsの場合、選択肢は2つ。2DINサイズに収まる7インチのTB706か、画面飛び出しタイプで10.1インチのTB103です。
2018年3月時点でTB706APLはTE706PLに、TB103は現在TE103Pにアップグレードされています。 探偵の車の場合は2DINに収めないとかっこ悪すぎですので迷う間もなくTB706APLです。
なお探偵が買ったのはゼンリン地図データ付きMicroSDカード同梱の商品で、オフラインでもナビが動かせるタイプでした。ゼンリンのナビソフトについては別記事で紹介します。
ちなみに同クラスのパンプキンの商品は次のタイプです。
以下、スペックを見ていきましょう。
基本スペックをチェック
TB706のスペックを紹介していくのですが、すでに後継機種のTE706が出ているので、合わせて紹介します。下記リンク先の情報情報も参考にしてください。
参考 (TE706PL) XTRONS 8コアAndroid8.0 ROM32GB+RAM4GBマイカーライフ専門店
Rockchip製SoCを搭載したプラットフォーム
TB706APL | TE706PL | |
---|---|---|
OS | Android 6.0 | Android 8.0 |
CPU | Coretex-A53 オクタコア | Coretex-A53 オクタコア |
RAM | 2GB | 4GB |
ROM | 32GB | 32GB |
Bluetooth | 4.0 | 5.0 |
後継機種TE706の方がスペック的には優れています。OSがAndroid 8.0になり、RAMが4GBに増えました。ただしTB706の2GBでもカーナビとして使う分にはさほど困ることはありません。旧機種でRAM1GBの時代は明らかにメモリ不足が生じていたそうですが、探偵が使用している限りにおいてメモリ不足を感じる場面はほとんどなく、必要十分だと思います。スミマセン。複数アプリを展開するとやはりもたつきが出ます。4Gあった方がやはりいいですね!ただメモリ不足なのかSoCの性能なのかはいまいち不明。
Android 8.0だとマルチウィンドウが使えるのですが、どれほど便利なのかこれは使ってみないとわかりません。マルチウィンドウで操作したりするとひょっとしたら2GBでは足りないのかもしれません・・・。 (追記2018.4.30)ベンチマークを計測しました。こんなものでしょう。
ディスプレイ:解像度は高くない
TB706APL | TE706PL | |
---|---|---|
サイズ | 7インチ | 7インチ |
解像度 | 1024×600 | 1024×600 |
アスペクト比 | 16:9 | 16:9 |
新旧スペック差はありません。解像度がHDにも満たない1024×600ピクセルですが、画面が小さく、スマホと違って遠くから見るので全く気になりません。他機種では800px程度のものもあるぐらいです。
ちなみに4K Video Format対応ですが、データに対応しているだけで画面解像度が低いので再生してもさほど意味がありません。
視野角はさほど広くありませんが運転席や助手席からみる分には問題ありません。ただ上下は狭く、下から見上げるようにするとだいぶ暗く感じます。また輝度もそこまで高くなく、日中だと暗めの映像は見づらいときがあります。参考に運転席から見た画面の写真を載せておきます。
Multi-touch Screenといちおう書いてあります。何点で測位しているのかわかりませんが、スマホほど精度はよくありません。(→計測しました。5点です。)
ただピンチやスワイプの動作に問題があるわけではなくカーナビとして実用上の問題はないでしょう(細かな操作が必要なゲームはつらいかもしれません…スマホをもっていればクルマの画面でやる意味はほとんどないでしょう)。
本体サイズ
サイズについては2DINサイズで、ユニット部分が 108×179×100mmフェースパネル部分が19×177×102mmとなっています。ただし取り付け編で紹介するように、2DIN用の取り付け枠よりほんの少し画面が大きいのです。他の方もレビューでも触れられているので、個体差ではないようです。探偵は仕方なくフィッティングパネルの方を少し削ることで収めました。
ネットワーク性能をチェック
ここからは新旧にスペックに違いがない(というか新しい方はわからない)ので比較表は省略します。
GPS
本体背面から付属のアンテナ付きケーブルを長く出すことができ、ダッシュボード上に設置できます。感度も悪くありません。どの程度の衛星を掴んでいるかは下の写真をご覧くだださい。
本機種には通常のカーナビやスマホと異なり加速度センサーがついていません。どうなるかというと、GPSが受信できない箇所(トンネルなど)に入ると位置を見失います。また起動した直後などではクルマの向きが変になっていることがあります。探偵は実用上さほど気になりませんが、気になる方はやめておいたほうが良いでしょう。
Wi-Fi
本体背面に付属のアンテナを差し込むことで使えます。スペック表記が見当たらないのですが、2.4Ghのみで5Ghには対応していません。
また内蔵される形になるので、ダッシュボードが邪魔をして感度が悪くなるようです。分解中だとつかんでいた電波が、収めてしまうとつかめなくなってしまいます。 車内での通信は問題ないですが、屋外のWi-Fiと接続するときにやや問題ありです。クルマにもよると思いますが、アクセスポイントから障害物なしでも6〜7m以上離れると厳しいようです。
ラジオ
モジュール内蔵ということで専用の差込口があります。探偵のクルマの場合は既存のアンテナからのケーブルが端子形状の問題なく差し込めたので、感度に特に問題なく、AM、FMともにきちんとつかめています。ソフト的なことは別ページにて紹介したいと思います。
OBD2
OBD2とは心臓部のコンピューターと通信ができるシステムで正確な速度やエンジン回転数、移動距離の情報が取得可能になります。ケーブルではなくBluetoothでの接続で、通信にはクルマの方に専用のアダプターが必要となります。Xtrons社から次のアダプターが発売されています。
Yahoo!ショッピングのサイトからも注文できるようです。 ただ動作保証は取れていませんので自己責任で!→【追記】XtronsのOBDIIを購入し、愛車に取り付けて動作確認OKです(2018.4.20)。
Bluetooth OBD2 II Car Auto Diagnostic Scanner Tool | Xtrons
TPMS
TPMSとはTire Pressure Monitoring Systemのことで、自動車のタイヤ空気圧を常時モニタリングするシステムだそうです。これもタイヤのバルブに装置を取り付けて情報を取り出す仕組みです。Xtrons社から下記の商品が発売されています。 ※Amazonのレビューでは本機種では全く動作しないというコメントもありますので要注意。
Car Auto TPMS Tire Pressure Monitoring System for XTRONS Android Units | Xtrons
拡張性をチェック
MicroSDカードスロット
前面左下にスロットがあります。TB706は32GBまでしか認識しませんが、TE706は128GBまで認識するようアップグレードされているのはいいですね。動画を入れると32GBではやや物足りない感じがあります。探偵はゼンリンのオフラインナビ付きモデルでしたので、地図データが入った16GBのmicroSDカードが付属していました。スロットは一つしかありませんので、追加で音楽用や映像用のmicroSDを入れようと思うと排他利用になります。
USB端子
本体背面に取り付けられる緑、黄色、赤の3本のUSB(TypeA)ケーブルが付属しています。3G/4Gの通信用ドングルを付ける場合はこのうちの1本に取り付けることになります。おそらく1Aですが電流も来ていますので充電もできます。
DVDプレーヤーと地デジチューナー
両方ともついてません。DVDが見れないから買い直したのにとツッコミが入りそうですが…。ただ背面にビデオ入力端子(RCA)があるので外付けはできそうです(未確認)。
DVDについてはこれまでのDVD資産が無駄になってしまいますが、別記事で紹介するようにAmazonプライムビデオが使えるので家族からそんなにクレームでていません。
地デジについてはそのうち入れてみたいと思うのですが、チューナーが高いのでそこまで投資すべきかちょっと迷ってます。ちなみに愛車購入時の2006年はまだ地デジに移行していませんでしたので、アナログチューナーしかついていません。
いろいろな機能があるのですね。便利そう。
でも実際に使ってみるといまいちな機能も多い。おまけ程度に思っておいたほうがよいな。
アクセサリーをチェック
説明書
機能を説明した簡易的な冊子がペラっとついているだけで、まったく役に立ちません。→言い過ぎました。取り付けについてはほとんど説明がありません。操作方法についてはそれなりに説明があります。後から読み直すとその理由もわかりました。「取り付けは決して自分で行わず、専門家に頼まないと危険です」と書いてあります。
したがってマニュアルには操作説明しか書かないとうことですね。DIYで取り付けにチャレンジされる方は各種サイトやYou Tubeの動画を参考にしてください(くれぐれも自己責任で。かなり難しいです)。本シリーズの第3回と第4回にて詳しく説明しています。
その他付属品
ISO 型ハーネス×1、USBケーブル×1、GPSアンテナ×1、Wi-Fiアンテナ×1、取り付けネジ×8、各種ケーブル ケーブルがかなりの量があります。Yahoo!ショッピングのサイトにTE706の解説写真が掲載されていますので参考にして下さい(TB706と同じです)。なお電源やスピーカーまわりのケーブルはキャップがついているだけで何も加工されていないので、ギボシ端子で接続することになります。これはちょっと初心者にはハードルが高いです。
まとめ:ガジェット好きににはたまらない
カーナビとしての機能を果たすべく、それなりの機能は備えていますが、国産ナビと比べるとかなり独特です。DVDプレーヤーはついておらず、地デジも別途チューナーを揃えなくてはなりません。ナビも基本はオンライン接続で利用することになります。
そのようなデメリットを差し引いても、Androidが動作するということは様々なアプリを活用できるという楽しさがあります。そういうガジェットを楽しむという点以外にこのカーナビを導入する意味はほとんどありませんので、そこに興味のない方は国産ナビを購入することを強くおすすめします。
Xtrons TB706APLの評価
フッフッフッ。取り付けるのが楽しみになってきたな。
でも所長。こんな電装系の取り付けしたことあるのですか?
自慢じゃないが、やったこと「無い」。まず工具から揃え無くてはな。(どうしよう・・)
えー。本当ですか。不安です。皆さんは真似しないでくださいね。