ガジェット探偵事務所へようこそ!所長のマーロウ(@marlowesgadget)です。
最近のスマートウォッチ(フィットネストラッカー)は、あらゆる種類の健康指数を監視することができますが、そのうちの一つがSpO2です。新型コロナウイルス感染症の関係で用語で見たことがあると思いますが、いったいどのような目的で使うのかをまとめてみました。
SpO2とは何ですか?
SpO2とは「経皮的動脈血酸素飽和度」という難しい医学用語のことで、「Saturation(飽和度)+ Percutaneous(経皮的)+O2(酸素)」の略称です。
血中のヘモグロビンは酸素と結びつくと赤外光をよく吸収し(鮮やかな赤になる)、酸素を失うと赤色光をよく吸収する(暗い赤になる)という特性の違いを利用し、異なる波長の2種類の光をあて、吸収されずに透過した光を測定してヘモグロビンがどれだけ酸素と結合しているか(飽和度)を分析するというものです。
かんたんにいうと「血管に光をあてて酸素の量を計測」するということです。
一般的には、標準とされる血中酸素濃度が96〜100%で、90%を下回ってしまうと低酸素状態だと診断されます。
スマートウォッチとパルスオキシメーターの違い
光波を血管にあててSpO2を測定する機器パルスオキシメーターは1974年に日本で開発されました。その後、小型化が進み、指先で計測できるフィンガータイプが主流となっています。
身体への負担も少なく測定できるため、病院だけではなく、登山やダイバー、マラソン選手などスポーツ分野でも使用されています。
このSpO2計測機能がApple Watchに代表されるスマートウォッチでも可能になりました。では医療用のパルスオキシメーターとどのような違いがあるのでしょうか?
計測の原理は同じですが、次のような違いがあります。
スマートウォッチ | パルスオキシメーター | |
---|---|---|
計測方法 | 反射光を計測 | 透過光を計測 |
測定部位 | 手首 | 指先(または耳たぶ) |
パルスオキシメーターは最適な指先や耳たぶを計測しますが、スマートウォッチは時計という性格上から手首を計測していますので、まず計測箇所の不利というのがあります。
次にパルスオキシメーターはじっとしている静的な状態で計測しますが、スマートウォッチは人間が動いている状態でも計測するため、加速度計やジャイロスコープからのデータを考慮して補正を行いますが、正確さに欠けるのは否めません。
さらに皮膚の色や周囲の光などの要素もあり、医療用のパルスオキシメーターに比べて、スマートウォッチに搭載されているSpO2の計測機能はあくまで簡易的なものといえます。実際に医療用と認証されているスマートウォッチはほんの一握りです。
SpO2計測はどんな場面で活躍するか
以上に紹介したように、スマートウォッチに搭載されているSpO2計測は医療用レベルではないので、あくまで健康管理の一つの指標として用いるのが適当です。
高地での活動
もっとも活躍するのは高地でのスポーツです。海面での酸素レベルは通常約21%ですが、標高3000mを超えると15%に低下する可能性があります。
高度でのトレーニングは、アスリートに酸素の負荷を与え、数週間後に、体はより多くの赤血球を生成できるようにする方法です。これらの変化が起こるまで、アスリートは筋肉に供給される酸素が少なくなるため、体がだるい感じになります。したがって、SpO2センサーは、その個人が安全にトレーニングし、そのトレーニングの利点を確認するのに役立ちます。
同様のことは、登山やダイビングを楽しむ場面でも活用できます。ただし命の危険がある場合は医療用機器を使う必要があります。
睡眠時無呼吸症候群の対策として
睡眠時無呼吸症候群は、就寝中に息が止まり、呼吸困難で断続的に目覚める状態です。夜に目を覚まして息を吸いますが、本人がこのような症状に気づいていないことがよくあります。その結果、しばしば落ち着きがなく疲れを感じたり、急激な眠りに襲われたりします。
就寝中にSpO2を計測することで、この症状を発見し、行動を起こすことができる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症対策として
おそらく現在、SpO2が注目されているのは、新型コロナウイルス感染症の療養にパルスオキシメーターが使われていて、スマートウォッチで代替できるかどうかというものでしょう。御存知の通り、新型コロナウイルス感染症では呼吸器症状がでる可能性があるからです。
結論から言うと「医療用のパルスオキシメーターを利用すべき」なのですが、入院やホテル療養と診断されるまでの間に、急ぎで医療用のパルスオキシメーターを入手するのは困難ですので、そのあいだの応急的な利用はできるかもしれません。
ただしスマートウォッチの計測で健康な値がでているからといって、安全ということにはなりません。不適合な値が出ているときに、呼吸器症状を疑う程度と思っておいたほうが良いでしょう。
まとめ|活用できる人は限られる
以上で見てきたように、SpO2はやや特殊な目的で計測する数値です。
高地トレーニングや、登山、ダイビングなどのスポーツで利用する方は、十分に活用できると思いますが、それ以外の一般人にとっては、あくまで「おまけ機能」「ぜいたく機能」といえるでしょう。
ただSpO2計測機能は、標準的に備えられている心拍計測機能と機構的にさほどかわりがないので、搭載が容易なこともあり、最近は安価なスマートウォッチでも利用できるようになってきています。
もちろん機能がついているに越したことはないので、搭載の動きは歓迎ですが、無理して高額な機種を購入する必要はないと考えます。
SpO2機能を搭載している代表的なスマートウオッチを挙げておきます。
- Apple Watch Series 6
- Fitbit Versa 3
- Xiaomi Mi Band 6
- Amazfit GTS 2e
- HUAWEI Watch FIT
最後まで読んでくれてありがとう。参考になればうれしいぞ。